さようならのあとに、あなたは誰になるのか
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さようならのあとに、あなたは誰になるのか
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『さようならのあとに、あなたは誰になるのか。』
――命の声に耳を澄ませる大晦日
①
除夜の鐘が、街の奥で微かに響きはじめた頃――
一年という名の命が、そっと息を引き取ろうとしています。
静かに、ゆっくりと。
誰にも悟られないように。
まるで、この一年が「ありがとう」と小さく微笑みながら、
私たちの背中に手を添えてくれているように。
大晦日とは、
「さようなら」を優しく言うための儀式。
だけど――
そのあとに始まる“あなた”について、
あなた自身は、どれくらい知っているでしょうか?
②
この一年、
あなたの身体は、たくさんの“さようなら”を受け取ってきました。
・涙を飲み込んだとき、
・声にならない想いを抱えたまま、笑顔を選んだとき、
・誰かの不在に、言葉を探し続けた夜。
皮膚が覚えてる。
胃が覚えてる。
声のトーンが覚えてる。
心の奥では忘れていても、身体はずっと覚えているのです。
筋温が1℃上がると、柔軟性が1割上がるように。
私たちの“感情の温度”も、触れること・許すこと・手放すことで少しずつ緩んでいきます。
この大晦日という日に、
あなたの内側に残っている「言えなかったさようなら」を、
どうか、身体ごとそっと感じてあげてほしいのです。
③それぞれの“さようなら”
あのとき、
母に言えなかった「ありがとう」。
父に残せなかった「お疲れさま」の一言。
兄弟との間に起きた、あの静かな決裂。
子どもの手から、そっとこぼれ落ちた夢のかけら。
そして――親友との永遠の別れ。
そのすべてに共通していたのは、
「言葉にできなかった想い」があったこと。
でも、涙は語っていました。
声は震えていました。
身体は、ちゃんと反応していたのです。
それは、“生きていた証”であり、
“愛していた証”だった。
もう一度、あのときに戻れたら言いたい言葉。
言えなかったけど、確かに存在した気持ち。
それを今日、この静かな大晦日に、
そっと「終わらせる」のではなく、「抱きしめて」あげましょう。
④
そして今、問いかけます。
「さようなら」のあとに、あなたは“誰”になるのでしょうか?
・過去を引きずる人?
・誰かの期待に応え続ける人?
・それとも――「震えるほうへ」進む人?
魂は、
別れによってだけ“本来のかたち”に戻ります。
蝶が羽化するために、蛹が崩れるように。
木が芽吹くために、葉を落とすように。
あなたの中の何かを手放したそのあと、
そこに生まれる“静かな空白”に――
未来の自分の声が、そっと届いてくるのです。
⑤
今年、あなたに起きたこと
今年、あなたは何を失い、何を受け取りましたか?
誰かとの別れがありましたか?
計画通りにいかない日々に、うなだれたことは?
頑張っても報われず、自分を責めた夜は?
無理に笑った日、
眠れなかった朝、
そして――それでも前に進もうとした、静かな勇気は?
きっと、他人からは見えなかっただろうけれど、
あなたはずっと、“内なる旅”を続けていたのです。
・ふと出会った一冊の本
・思いがけず交わした、誰かの言葉
・なぜか涙が止まらなかった瞬間
・心の奥でふっと軽くなった日
それらすべてが、あなたの**身体と魂に静かに蓄積されている“変化”**でした。
何かが終わったようで、
実は何かが“始まっていた”。
それが、
**この一年間という命の“真実”**だったのかもしれません。
⑥
そして2025年に、世界はまたひとつ、
新たな時代の扉を叩いていました。
――アメリカでは新たな大統領選を前に、価値観の分断がより浮き彫りに。
――ヨーロッパでは異常気象と移民問題が重なり、“共に生きる”とは何かが問われました。
――ウクライナとガザでは、いまだ終わらぬ争いの火種が、命を奪い続けています。
そして日本でも――
・能登半島地震の傷跡に、復興の灯りが少しずつともりはじめたこと
・円安と物価高が続く中でも、“足るを知る暮らし”に回帰する人々が増えたこと
・パリ五輪を前にしたスポーツ界での再挑戦と若きヒーローたちの誕生
・子どもたちのいじめや孤独に光を当てた新しい教育の試み
・生成AIと人間の共創が、本当の“知性と感性のバランス”を模索し始めたこと
・そしてついに、女性として初の総理大臣が誕生し、“しなやかな強さ”が国の中心に立つ時代が始まったこと
変わることに戸惑いながら、
それでも人は、誰かのために灯りをともし続けています。
日々のニュースの裏側で、
ひとつひとつの出来事が、
誰かの“命の選択”として静かに重なっていたのです。
この国も、世界も、
いつだって、誰かの祈りと行動の上に成り立っている。
そう思わされた、そんな一年でした。
⑦
今年という命が
静かに幕を下ろそうとしている
誰にも知られず
何も要求せず
ただ
あなたの傍に寄り添ってくれていた
あの涙も
あの怒りも
あの祈りも
すべてこの命の一部だったと
今日 やっと
知ることができる
さようならを
哀しみの言葉にしないで
それはむしろ――
「あなたはよく生きたね」という
命からの抱擁なのだから
格言
「別れとは、命が自分を更新するための儀式である。」
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RMA戦略家
岩根 央