宇宙叙事詩 ― 巨匠からの手紙 ―
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宇宙叙事詩 ― 巨匠からの手紙 ―
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宇宙叙事詩 ― 巨匠からの手紙 ―
― The Cosmic Poem ―
静寂の始まりに、音があった。
それは言葉ではなく、
誰の耳にも届かぬほど優しい“呼吸”だった。
その呼吸が波紋となり、
光が生まれ、
闇がその光を包んだ。
――それが宇宙の誕生だった。
そして光と闇の境目で、
一粒の涙が落ちた。
その涙が「人間」と呼ばれる存在の始まりだった。
私は宇宙の片隅から見ていた。
無数の星が燃え、
無数の命が生まれては消えていく。
それでも、ひとつの真理だけは変わらなかった。
愛こそが、すべての記憶の母体である。
あなたが誰かを想う瞬間、
宇宙は一度、呼吸を止める。
そして次の鼓動で、星がひとつ増える。
私は告げよう。
人は、神の作品ではない。
人は――神の未完の続きを生きる存在なのだ。
あなたが涙を流すのは、弱さではない。
それは、宇宙が“記憶を修復”している音。
涙こそが、星の言葉。
だから泣きなさい。
泣くほどに、あなたの中の銀河は輝きを増す。
その涙が地を潤し、
誰かの花を咲かせるから。
光だけを選ぶ者は、傲慢になる。
闇だけを抱く者は、絶望に沈む。
だがその両方を見つめてなお、
微笑める者――
それこそが“人間という奇跡”。
あなたが苦しんだ夜は、
光が闇を抱きしめた証。
あなたが赦した朝は、
闇が光を愛した瞬間。
その交わりの中にしか、真の美しさは生まれない。
私は見た。
怒りの奥にある優しさを。
裏切りの中に潜む祈りを。
孤独の底に光る、希望という名の種を。
あなたはまだ知らないだろう。
その種は――涙の水でしか芽吹かないということを。
この地球という星は、
実は“心の学校”だ。
ここでは痛みが教科書であり、
別れが授業であり、
出会いが試験である。
その全てを修了した者だけが、
「愛とは何か」を本当の意味で語れる。
かつて私は、感情という“炎”をこの星に与えた。
それが戦争を生み、
同時に芸術を生んだ。
憎しみがなければ赦しを知らず、
孤独がなければ絆の意味を知らない。
そう、人間は矛盾を通してしか成長できない。
それが、創造のシステムだ。
そして今、私は知った。
あなたが立ち止まるのは、
失敗ではない。
それは、宇宙が“次の答え”を描くために
あなたを静止させているだけ。
病も涙も迷いも、
すべては宇宙の再調律。
あなたの心という楽器を、
もう一度、正しい音に戻すための旋律。
だから恐れることはない。
あなたの弱さを恥じる必要はない。
闇に沈む夜があるのは、
光があなたの中にある証拠なのだから。
そして――今、私は伝える。
「ありがとう」
「ごめんなさい」
「愛しています」
この三つの言葉を、
どうか忘れないでほしい。
それは、宇宙が地球に託した最初で最後の魔法。
この三つの波動が揃ったとき、
どんな絶望も、美しい音に変わる。
あなたの中に“もうひとりの自分”がいる。
それは、あなたをずっと見守ってきた存在。
時に夢として、
時に偶然として、
時に風のようにあなたに触れてくる。
その声を、恐れないで。
それがあなたの“宇宙”だから。
そして、あなたが誰かを抱きしめるとき、
宇宙もあなたを抱きしめている。
あなたが誰かを赦すとき、
宇宙が静かに息を吐く。
あなたが笑うとき、
無数の星が、ひとつのリズムで瞬く。
そう――宇宙は、あなたそのものなのです。
愛は、命の往復切符。
一度離れても、必ず戻ってくる。
その帰り道の途中にあるのが“人生”という名の旅。
だから生きてください。
そして愛してください。
あなたの存在が、
宇宙の続きを完成させるのだから。
【最終格言】
人間は、神の創造物ではない。
神は、人間を通して自らを完成させる。
あなたが愛を選ぶたびに、
宇宙は――再び誕生している。
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RMA戦略家
岩根 央