客の心の声を聴く
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客の心の声を聴く
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客の心の声を聴く
――百貨店という究極の現場が教えてくれたこと――
私は大学時代の4年間、百貨店という究極のサービス業で、心を鍛えられました。
それは単なるアルバイトや現場体験ではなく、まるで「人間そのもの」を学ぶための恐ろしいほど濃密な訓練でした。
百貨店は、ただモノを売る場所ではありません。
そこは「人の心と心」がぶつかり合い、試される舞台です。
そして、客は商品を買いに来ると同時に、こちらの「心の在り方」を買いに来る。
客は“心”を見ている
驚くかもしれませんが、客は表情や言葉以上に、私たちの心を見抜いています。
「売りたい」と押しつけているのか、
「喜んでほしい」と願っているのか、
「自分だけを守ろう」としているのか――。
こちらの意図や姿勢は、無言のうちに伝わるのです。
あるとき私は、マニュアル通りの言葉や作り笑顔を繰り返していました。
その瞬間、目の前の客の表情が固くなったのを今も覚えています。
「この人、私を見ていない」――客の心の声が聞こえた気がしました。
そのとき初めて気づいたのです。
本当に大切なのは、言葉ではなく“心の在り方”なのだと。
世界観ごと伝わる
客は商品そのものを見ているだけではありません。
「この人はどういう人間なのか」
「どんな仲間と働いているのか」
「どういう世界で生きているのか」
その全体像を無意識に感じ取りながら、信頼するかどうかを決めています。
だからこそ、表面のトークや接客スキルでは足りない。
その人の“生き方”そのものが、商品と一緒に差し出されている。
私はその事実に何度も打ちのめされ、何度も立ち上がりました。
百貨店が与えてくれたもの
百貨店という舞台は、私に二つの力を授けました。
心の声を聴く力
相手の沈黙、わずかな表情の変化、ほんの一言の裏に潜む「真意」を感じ取る感性。
自分を磨く責任
商品以上に「自分の心」が評価される現場では、自分を偽ることができない。
だからこそ、人間としての姿勢を正す訓練を常に迫られました。
この二つは、社会に出てからのすべての挑戦で大きな武器となっています。
客の心の声を聴くということ
「客の心の声を聴く」――それは、相手の気持ちを汲み取るだけではありません。
こちらがどんな心でいるのかを常に整え、清め、相手に差し出す覚悟を持つことです。
営業でも、経営でも、人生でも同じこと。
相手の声を聴こうとする前に、まず自分の心を見つめ直す。
その積み重ねの先にしか、本当の信頼関係は築けないのです。
格言
「人は言葉より、心で買い、心で去る。」
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RMA戦略家
岩根 央