どうして夫は「旦那」と呼ばれるのか
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どうして夫は「旦那」と呼ばれるのか
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「旦那」という呼び方、実は仏教に由来する言葉だって知っていましたか?
もともとは「檀那(だんな)」と書き、インドの古い言葉「ダーナ(与える)」が語源です。
仏教では、人に施しや教えを与えることを「布施」といい、これが善い行いの一つとして大切にされてきました。
つまり、「旦那」という言葉の根っこには――
家族を支え、守り、何かを与え続ける人への敬意が込められているのです。
ある40代の男性Aさんが、こんな話をしてくれました。
最近、中学時代の自分と同じ年頃の息子を見ながら、当時の父の姿をよく思い出すそうです。
夜遅く帰ってきて、晩酌しながらテレビを眺め、あまり多くを語らない父。
正直、その背中は怖く、近寄りがたかった。
父が帰宅すると、子どもたちの団らんタイムは一瞬で終わり、居間は静まり返ったそうです。
そんな父の意外な一面を見たのは、家族で外食に出かけたときのこと。
偶然、仕事関係の人と会った父は、家では見せない柔らかな笑顔で、深く頭を下げながら会話していました。
その姿にAさんは衝撃を受けたと言います。
「家では威張っているのに、外ではこんなに愛想よくできるんだ…」と、むしろ反発心が強くなったそうです。
しかし、Aさんが社会に出て営業の仕事をし、家庭を持つようになってから――
あのときの父の姿が、まったく違う意味で胸に迫ってきたそうです。
お客様に頭を下げ、成果を求められ、数字に追われる日々。
失敗すれば給料に響き、家族を養えなくなるかもしれないというプレッシャー。
くたくたになって帰宅し、テレビを眺めながら無言で座る自分に、
「あ…これはあのときの父だ」と気づく瞬間が何度もあったといいます。
Aさんは、ようやくわかったそうです。
ファミレスで見た、あの笑顔も、頭を下げる姿も、
すべては「家族を守る」という覚悟から生まれたものだったと。
「旦那」という呼び名は、単なる呼称ではありません。
そこには、“与える人”として生きる背中への敬意と感謝が、静かに込められているのです。
格言
与える人の背中には、言葉以上の物語が宿っている。
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RMA戦略家
岩根 央