回想の中で…
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回想の中で…
ふと立ち止まる夕暮れの時間
胸の奥で、静かに揺れている “あの日の記憶” に触れることがある
人は、つい「善」と「悪」で世界を分けたくなる
でも、そう単純に語れない何かが、人生にはたくさんあるのです
誰かの言葉がトゲのように刺さっても、
その人もまた、痛みを抱えて生きていたのかもしれない
そんなふうに、因果の糸をたどると
見えてくるのは、ただ “起きてきた出来事” の重なり合い
許すことも、怒ることも、どちらが正しいなんて
白黒つけられるものではないのかもしれません
けれど、もしも心のどこかに「慈悲」という灯りを持てたら――
過去を、違う目で見つめ直すことができるのではないでしょうか
私たちの中には、思った以上に深くて
あたたかい何かが眠っています
それは「愛」や「優しさ」なんて言葉よりも、もっと静かなもの
ただ、回想の中でそっと寄り添ってくれるもの
今のあなたが、今日まで歩いてきた日々すべてに
そっと “ありがとう” と言えますように
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岩根央