WIN-WINという言葉を使ってはいけない理由
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WIN-WINという言葉を使ってはいけない理由
WIN-WINという言葉を使ってはいけない理由
──それは、信頼と品格の話。
「WIN-WINでいきましょう」
この言葉を、私は使ったことがない。
それは決して、共存や共栄を否定しているわけではない。
むしろ私は、心ある人間同士が「互いに豊かになる関係」を心から望んでいる。
だが、真理は細部に宿り、言葉の選び方が人間の本質を映す鏡になる。
だからこそ私は、「WIN-WIN」という言葉に、微かな違和感を覚えるのだ。
●WIN-WINを語る人が、本当にWINを願っているとは限らない
「損得を正当化」するために使われる「WIN-WIN」という言葉ほど、
魂の触れ合いを遠ざけるものはない。
“相手のWIN”を掲げながらも、
実際には“自分のWINの確保”こそが目的になっていることが少なくない。
それは信頼ではなく、取引だ。
人間関係を、効率と条件で結びつけようとする態度が、
私はどうしても“下品”に見えてしまう。
●真理を語るとき、人は静かであった方が良い
「WIN-WINでいこう」と語ることで、かえって品格を落とすことがあるからです。
本当に信頼されている人、本当に尊敬される人は、
WIN-WINなどと言わずとも、自然に“共に歩める人間”であることを、
その姿勢と行動によって証明している。
それは、
「結果的にWIN-WINだったね」と、
あとから誰かが気づく“関係性の結晶”なのだ。
●お金が意味を持たなくなる時、人は何に救われるか
戦争、大災害、そして死の間際。
そうした極限状態では、お金も契約も無力になる。
そのとき人を支えるのは——
“この人とつながっていたい”と思える関係。
言葉を超えた、魂と魂の触れ合いだけが残る。
WIN-WINという響きには、
その“深さ”が、ない。
だから私は、その言葉を使わない。
「今日の格言」
信頼とは、言葉で交わすものではない。
黙って差し出した手に、そっと触れたときに生まれる。
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岩根央